地域(みんな)で支える子どもの回復ネットワーク(Trauma Informed Care for Children in Osaka;TIC-CO)は、平成29-30年度大阪大学「知の共創プログラム」資金による「社会的養護で暮らす子どものトラウマインフォームドケア/システムの構築」に関する研究として運営するプロジェクトです。福祉・医療・心理・教育等、さまざまな領域を超えて、子どもの支援の質を高めるための取り組みを行っていきます。

プロジェクトメンバー

野坂 祐子NOSAKA Sachiko

大阪大学大学院人間科学研究科・臨床教育学講座 教育心理学分野,准教授・臨床心理士

性暴力や犯罪被害等によるトラウマやグリーフに関する研究と臨床を専門とする。とくに、子どもの性の安全や健康の観点から、被害と加害の双方への支援や介入を行っている。

主著:『マイステップ:性被害を受けた子どもと支援者のための心理教育』(共著:誠信書房,2016年).『子どもへの性暴力:その理解と支援』(共編;誠信書房,2013年).『あなたに伝えたいこと:性的虐待・性被害からの回復のために』(共訳;誠信書房,2015年)ほか。

【Message】

子どものトラウマは語られず、周囲にも気づかれにくいものです。言葉にならない苦しみが表された子どものさまざまなサインを見逃さず、しっかりと受けとめるためには、“トラウマのレンズ”が役立ちます。一緒に、TICを始めましょう!

酒井 佐枝子SAKAI Saeko

大阪大学大学院連合小児発達学研究科・小児発達学専攻,こころの発達神経科学講座,子育て支援学研究領域,准教授・臨床心理士

発達障がい、子ども虐待への養育者支援に関する研究と臨床を専門とする。とくに、養育者と子どもとの関係性構築の観点から支援や介入を行っている。

主著:『子どものPTSD-診断と治療』(共著;診断と治療社,2014年),『発達障害の子どもの理解と関わり方入門:広汎性発達障害・ADHDの幼児期から学童期の支援』(共著;大阪大学出版会,2010年)ほか。

【Message】

子どもが安全な環境の中で成長発達できるためには、子どもを取り巻く周りの私たちが“トラウマのレンズ”を通して、子どもと子どもが暮らす環境にまなざしを向けることが求められます。“TIC”を知ると何かが変わります!

村上 靖彦MURAKAMI Yasuhiko

大阪大学大学院人間科学研究科・基礎人間科学講座、教授

専門は、現象学的な質的研究。現在は、看護実践、子ども支援、精神障がい者の当事者運動についてのフィールドワークを行っている。

主著:『摘便とお花見 看護の語りの幻想学』(医学書院、2013年)、『母親の孤独から回復する虐待のグループワーク実践に学ぶ』(講談社、2017年)、『在宅無限大 訪問看護の現象学』(医学書院、2018年近刊)ほか。

【Message】

子どもの支援には、さまざまな援助者がそれぞれの現場で創造的な実践を積み重ねています。トラウマとそこからの回復を軸にして、援助者のみなさんが有機的につながることができれば、傷つきやすさに気遣いのある社会ができるのではないでしょうか。


トラウマインフォームドケアって?

さまざまな「生きづらさ」や問題行動、心身の不調の背景には、子ども期のトラウマや逆境体験が影響していることが知られるようになってきました。虐待や暴力、社会的排除や孤立といった「苦境」のなかで人が生きのびるためには、「不信」や「攻撃」、あるいは「逃避」といった対処をとるのは自然なことです。それが一時的な対処にとどまらず、やがて習慣化してしまうと、人とのつながりは絶たれ、さらなる苦境に立たされてしまいます。
トラウマインフォームドケア(Trauma Informed Care)とは、問題の背景にある幼少期のトラウマについて理解しながら、トラウマの影響を考慮した支援を行うことをいいます。子ども自身や周囲の人たちがトラウマとその影響について知ることで、より適切な対処法が選びやすくなります。支援者は、トラウマ反応やそれを引き出すきっかけについて子どもと一緒に考えながら、子どもが安全・安心に過ごせる方法を見出していきます。
  • トラウマを抱えた子どもへの叱責や非難を、「理解」と「励まし」に。
  • トラウマ支援のなかで感じる支援者の不安と無力感を、「安心」と「有力感」に。
  • さまざまな関係性や支援機関のシステムが分断されず、「つながり」をもてるように!

トラウマインフォームドケアは、トラウマや逆境のなかで育った子どもだけでなく、支援者やコミュニティの回復も促すものです。